2013年5月18日土曜日

過去ブログの再掲

過去ブログの再掲2

 
遠藤周作先生の頃  2011.4.3
  
※ あの時は、チェルノブイリの事故が起こったのだ。

 
こんにちは~、お久しぶりで~す。あたしを知らない人もいるかなあ? あたし、うちのおばはんの相棒の、ケータイのマリーっていいます。ほんとのケータイよ。時々あの人の書き物に出てきてお手伝いしてるから、知ってる人もいる筈よ。

エーとねえ、今日の話って、昨日の続きのような、そうでもないような、そんな話なの。うちのおばはんの思い出話ってとこかしらね。あの人がまだ若い女の子だったころの話なの。還暦過ぎたおばはんが若い女の子だったころだもん、少なくとも40年以上も昔の話だわさ。

あの人のお母さんてあの人が高校三年の二月に亡くなったの。学校は三学期で、何やかやと大変だった時よ。あの人だって毎日真夜中もラジオを聞きながら勉強していた時期よ。本来ならお父さんはあの人を大学に入れるつもりでいたのに、お母さんの急死であの人、タガが外れてしまって何のために進学しなくてはいけないのかわからないって、勉強もしなくなっちゃったの。あのころなのよね、うちのおばはんがキリスト教の教会に行くようになって、プロテスタントの教会で洗礼を受けたのは。それでもって進学も止めちゃって、とりあえずお茶の水の池坊に籍だけ置いて毎日、好きなようにしてたのだけど、大学に行かなくても手に職をつければいいじゃないかって、言い出して勝手に和文のタイプを習って、勝手に就職しちゃったの。

そのうちにお父さんが再婚したの。そのころに今度はプロテスタントからカトリックに宗旨替えして、四谷の教会に行き始めてたんだけど、独立して一人で生活したいって言い出して知り合いのいた高円寺のアパートの部屋を借りて家を出たの。で、それからがあの人の今の人生の始まりなのよね。

いろいろあったんだけど、あの人、本来は修道生活を志して家を出たから、生活は真面目だったのよ。何分、人の心は複雑だしさ、自分自身の影をあの人に投影してあの人を悪者にして見た人がいたりして変なことになっちゃったのよ。だけどもうあれから何十年もたっちゃったのよねえ。
とにかくそれでも、周りはどう見ようとあの人自身はそのころはちゃんと会社に勤めて、教会にも熱心に通って生活してたわけよ。25,6年か、もうちょっと前かなあ、あの人がたまたま図書館で本を借りて読んだのよ。遠藤周作先生の『死海のほとり』っていう本よ。遠藤先生の本を読んだのは久しぶりだったの。

『死海のほとり』を読んであの人、泣いちゃったのよ。なぜかっていうとね、お母さんが亡くなった頃、遠藤先生の狐狸庵先生シリーズのおかげで悲しみから救われて、先生のご本をもっといろいろ読んでいたのよ。その中に『聖書のなかの女性たち』というのがあって、そこに幼くして亡くなったフランスの女の子、マチルド・ロアの詩が載ってたの。『死海のほとり』の修道士ねずみのはなしで、ああ、遠藤先生の心の中でマチルド・ロアの詩はこういう形になっていったのかってわかったの。それで書いたこともないファンレターなんてものをだしてみたのが遠藤先生とのご縁の始まりだったのよ。

ちょうどあの頃、うちのおばはんもユング心理学をちょっぴりかじっていて、同じ時期に先生もユング心理学を勉強して作品にも反映させていた頃で、遠藤先生の持ち前の好奇心で、忌々しい当時の朝日新聞の記者めが、きちんと当人のおばはんに確認もせずにいい加減なことを言い出して、とうとう、おばはんがまともに会社に勤められなくなっちゃったんだわ。詳しくは言えないけど、偶然がいくつも重なって起こって、普通起こるはずのないようなことがいくつも起こったの。それを利用しようとする人たちが暗躍して実に大変なことになったのよ、あのころ。

でもって20数年たって、関係者のかなりの人が亡くなってるし、家のおばはんも還暦を過ぎて、気力、体力が落ちたし、今回の大災害で日本に力がなくなると、もう、うちのおばはんも浮かび上がる瀬がないじゃない。このまま、真相は隠されたままでただの生活保護受給で暮らすおばあさんになるのかって、あの人、さすがに強烈に落ち込んじゃってるんだわ。

そんな時に聞いた初金の祈りの日の説教は、マチルド・ロアの詩や、死海のほとりのねずみではないけれど、うちのおばはんの心にももう一度、こういう状況でもキリストは一緒にいて同じ情けなさを味わっているんだって思い出させてくれたってわけなのよね。こういうのって、ドコモのギャラクシー・タブを2年縛りで契約して無理やり自分にやる気を起こさせたのと同じくらい、いやもっとかな、立ち上がって動こうって気にさせてくれるんじゃないのかな。どういうおばあさんになっていくかは今の生き方次第だもん。

これからどうなっていくかは、わからないけど、とにかくあの初金の祈りに行ったのはいい薬になったし、近くでいいからまた出歩いてみれば気分も変わってくるんじゃないかと思うわ。あたしやタブをお供に連れていけばいいのよ。新しいことを始めれば、落ち込んでなんかいられないんだから。地震は怖いけどなったらなったでその時よ。

なんかいやに長くなっちゃったから今日はこれでおしまい。 ほんじゃまたね、バイバイ。

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