2013年5月9日木曜日

不死鳥への手紙

ブラジル沖合いの大西洋の海底で過去に大陸があったらしい痕跡が発見されたという話で、あちこちでアトランティスの名前が出ていた。でも、この今回見つかった痕跡というのは5千万年前に海底に沈んだものだそうだ。5千万年前では現生人類は確かまだ誕生していない。古代ギリシャの哲学者プラトンが書き残したアトランティスという大陸はだいたい1万2千年前に沈んだらしいといわれるから、年代的にも離れすぎている。

しかし、この話でふと、昔読んだフレドリック・ブラウンというSF作家の「不死鳥への手紙」という短編を思い出した。これはファンタジックな想像の物語ではあるが、最近はやりの古代のありえない遺物、オーパーツの話以前にブラウンがこの話を書いていたというのもすごいことだと思う。

話の内容は人類は実はこれまで幾たびも核戦争で滅び、わずかな生き残りが再び原始時代の生活の振り出しに戻っては何万年、何十万年という時間をかけて文化文明を築きあげ、いくところまでいくと再び世界を破壊する大戦争を起こして殆どの人類が滅び、また振り出しに戻って原始時代の生活から始めていく歴史を繰利返していて、その有様はちょうど不死鳥が炎の中に飛び込んで死んでは再び生まれ変わってくる姿のようだという話だ。

オーパーツについては、ここでああでもないこうでもないというつもりはない。ただ、まあそれは確かに、その話が本当なら地球上に残されている不思議な奇妙な異物の意味も解けるけれど、あくまでもそれは想像でしかなくて、誰にも真実がわかるわけがない。

現生人類の今の我々にわかるのはせいぜい現代の科学で見つかっていることと、はっきりしている年代の歴史だけだ。それ以上は伝説神話物語の世界ということになる。

だが、伝説や物語としても面白い話だと思う。5千万年前どころか、100年前の話さえ忘れられているほど、人間ひとりひとりの寿命は短いのだから、今度の新発見をあれこれ想像してみるくらいはわるいことではないだろう。

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