少年Hを見てきました(追加)
それはとにかく、昨日の少年Hの話、少し、追加します。
昨日のブログでは、話がややこしくなるので書きませんでしたけれど、映画の中でたびたび日本の昔のオペラ歌手、藤原義江の歌声が流れていました。風の中の羽のように~と歌っているこの人物は、少年Hの作者の妹尾河童さんの河童という名前の生みの親だった方です。妹尾肇くんはいかにして妹尾河童氏になったか、なかなか面白いエピソードもあります。
実は私は妹尾さんの精密な画風と文章が好きで著書はほとんど読んでいたわけですが、少年Hはそれまでのものとはまったく違っていました。とにかく重苦しい内容で読みきるのに努力が必要でした。この本に、いろいろな意見や反論も出ていますけれど、一人の人が自分の目に見えた範囲のことを書いているわけで、ほかのかたがたと同じものが見えていたわけではありませんし、これはこれでいいのだと思います。
それはとにかく、映画の少年Hに流れている歌声の持ち主と妹尾河童さんの関係がわかっていると、話の背景もさらに膨らみ、たぶん、見え方もまた少し広がります。
小説のほうの少年Hも、映画の少年Hも、作者が、そして監督や演技者たちがそれぞれ表現したかったものがあるので、受け取る側もまたこれはこうだと画一的に決め込む必要もないのだと思います。ただ過去の歴史に起こったことと今現在の自分の生きている世界の動きは、やはり時々、比較検討は大切かという気がしますが。
そういえば今日はもうひとつ、朝の連続ドラマのあまちゃんで大きなターニングポイントにきたようで、ドラマの世界でもついに来週は、二年前に現実に起こった東日本大震災がやってきます。ドラマとはいえ、その動きに一喜一憂してきた登場人物たちの運命が大きく変わってしまうのを思うと胸が痛みます。
現実の大震災の時も私たちはみんな、普段と変わらない一日が次の瞬間に崩れ去ってたくさんの人の運命が変わってしまうなどとは考えもよらないまま、3.11を迎えたのでした。戦災と自然災害の違いはあっても、少年Hも、あまちゃんも、どちらも人間の運命というものについて、何かを考えさせられるようです。
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